船室の揺れもものかはかるた取り 桑島啓司
新年初旅の船の中でしょうか。
それともお正月もものかは、魚を獲りにゆく漁船の中の憩いのひとときでしょうか……。海は大時化(おおしけ)というのではありませんが、それでもかなり揺れています。
その船室の中で和気靄々(あいあい)とかるた取りに興じる人々。
<天の原ふりさけ見れば……>
<ハイッ!!>
勢いよく手を伸ばすと途端に船は揺れて、取り手の体も転り倒れたりして……。
そのたびにドッと笑いが起こります。
新しい年への希望を乗せ、若々しいいのちを乗せ、明るい笑顔を乗せて、
船はどこを目指して進んでいるのでしょうか……。
飛び交う冬鷗の白さまで目の前にある感じです。
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