初秋の白湯ゆつくりとさまし飲む 棚田良子
そのひとは長男のお嫁さんに言いました。
「久美子さん、お湯呑みにお湯を入れてくれる!? お茶じゃなくていいのよ、ただのお湯だけね!!」
何事にも朗らかで正直で、若いひとに似合わず細々とよく働くのでお年寄りの受けもよく、仲の良い二人です。
「おかあさん、お薬飲むんですか、熱いですから火傷しないように。ちょっと水を入れてきましょうか?」
「いいのいいの久美子さん、さましさましゆっくり飲むから……。はい、ありがとう。……ところで久美子さん、あたしいまふと感じたんだけど白湯って秋に似合うと思わない?」
「あたし若いからよくわかりませんけど、そう言われればちょっとそんな気がしないでもありませんねえ……。それにしてもおかしなおかあさん、急に……」。
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