花吹雪浴びたる一期一会かな 成田 昭男
昔から<花は桜木、人は武士>と言われるように、さなきだに短いいのちでありながら、その散り際の潔さからも、桜は昔から日本人に殊のほか愛されてきたのでありましょう……。
作者は吹雪のように舞い散る花の下で誰かと逢っています。大切に想う人と逢っています。いまここで、こうして逢ってやがて別れて、またいつの日再会できるか分らないのです。もう二度と逢えないかも知れないのです。人と人との出会い、巡り合いは、これ一度しかないと思って心を尽くさなければならないと教える茶道の<一期一会>という言葉。それは花吹雪の中で、殊のほか切実に心に迫ってくるのです。
<いま>というこのひとときを、いとおしむことのほかに人生の意味はありません。なぜなら<いま>という時の連続が、その繋がりこそが、人間の一生そのものだからです。<逢うは別れの初め>とか人と人との縁は万金に替え難いものでありましょう……。
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