湯づかれの母に肩かす薄紅葉 一瀬信子
仲のよい母と娘が山間の温泉(いでゆ)に来ています。
「お母さんは本当に温泉に入るのが好きねぇ……。
もう四回も入ったでしょッ!?
見なさい湯疲れしちゃったのよ、駄目ねぇ。
折角骨休めに来たのに、いつもより疲れちゃうなんて……。
ねぇお母さん、はい、あたしの肩につかまって!!」
「湯疲れは湯疲れだけど……、本当にいいお湯だねぇ。
見てごらん窓の外、まだ盛りの紅葉にはちょっと早いけど、
それでもうっすらと色づいて……ねぇ。
あたしは嬉しいよ、あんたに感謝してるんだよ」
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