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泣きそうになってふくみし葡萄かな 三宅絹子
ひとりで耐え忍ぶには余りにも辛すぎることがあるのでしょう。でもそれを人に告げるわけにはいきません。告げたとて誰に解ってもらえるものでもありません。單なる慰めの言葉を聞いても、何の役に立つというのでしょう。忘れようとして忘れられない心の痛手に、抑えていた涙が溢れそうになって、その涙を見せまいと葡萄の一粒を口に入れた、というのでしょう。甘いはずの葡萄の汁が、苦く口の中に拡がったかもしれません。
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