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菊日和なにかにつけて襟直す 檜 紀代
よく晴れています。菊の花の展覧会、菊花展にでもお出かけになったのでしょうか、ひとりの美しい中年の和服の婦人。丹精こめられて見事に咲き競っている菊の花を、ひとつひとつ丁寧にいつくしむようにご覧になって、白く細く長い指は、しきりに襟元の辺りでまこと美しく動きます。香水の甘やかな匂いも風に漂い、撫で肩の、粋で謙虚で美しい女人に、当マイクロホンの貧しい想像力が、それでも羽をはやして飛んでゆきます。
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