蝶々のおどろき発つや野菊の香 前田普羅
夫婦(めをと)の蝶々でしょうか……。
「あなた、ちょっと憩(やす)みましょうか、あたくし、ちょっと疲れましたわ」
「そうか、気がつかなくてわるかったな。
そういえば、わたしも一服したくなったよ」
まさか蝶々が、こんなことを言う訳もないでしょうが、仲良く一緒に薄紫の野菊の花にとまりました。
そして、驚いたようにすぐ飛び発ちました。
「あなた、こんな素晴らしい香り野菊さんにとまったんでは失礼ですよね。
さっあたし達、もう少し遠くに行きましょうか……。
野菊さん、お邪魔してごめんなさいね!!」
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