身体は、年月が過ぎればすりこぎ度が増し、朽ち果ててゆきます。
でも、人の心は“宇宙の風”に乗るが如く輝いてゆきます。
先日、「在宅サービス提供現場見学(体験実習)」に行ってまいりました。
ホームヘルパー2級を取得するための必須科目です。
でも「現場見学」って名目なんで、「観てればいいんだよな」ってお気楽な気持ちで出かけたわたくしでございました。
が、コレが大勘違いでございまして!
朝8時20分、施設に到着。
「45分からだから、まだ早いけど、ま、いっか!」
と軽い気持ちで門をくぐり、現場に行くといきなりきました。
「あ?実習生ね? このタオルたたんで!」
これに始まり、午前中は利用者のお出迎え、入浴介助、昼飯の準備…。
午後はリハビリ運動、リクリエーション、おやつ、見送り…。
あっという間に17時になっておりました。
これは“福祉”とか“介護”とかという問題ではなく、人の命を預かるという使命を帯びた完全な接客業であります!!
「ハイ! では手を上げて。手を開いて。親指を曲げてください。人差し指から曲げて、小指から開いて、10で握りま~す!」
作業療法士の先生の合図でお年寄りの方が運動開始。
わたくしはその中に入り、一緒にこの運動をしたのですが…。
「ハ~イ! 皆さんよくできました! 実習生の○○さんだけ間違ってます~! ちゃんとついて来て下さいね!」
一同大爆笑!涙を流しながら、心の底から大爆笑。
「では、次はパ・ピ・プ・ぺ・ポをやります。いつものように「パ・パ・パ・パ~ですよ」
これもなぜかわたくしだけ「パ~」がズレまくりまして…。
また一同大爆笑!!
「にぃーちゃん、頑張れや~!!」
「ハイ!頑張ります(汗)!」
おやつの時間、何人かの方と話をしました。
皆、自分の過去の話です。
でも、どの方も決して自慢や不満、愚痴ではありませんでした。
わたくしに一生懸命自己紹介をしてくれているのです。
その自己紹介は80年以上“生きてきたことを積み重ねた”実に貴重な内容なのです。
見送りの時、マイクロバスに乗り込んだある方がわたくしに言いました。
「おにぃーちゃん! また会えるといいね!」
そう。わたくしが実習生であること、今日1日だけであることをちゃんと分ってくれていて、気を遣ってくれて、「またね!」ではなく「また会えるといいね!」なのです。
遠ざかってゆくバスを見送りながら、薄毛のすりこぎオヤジは恥ずかしながら涙が止まりませんでした。
おばぁちゃんの誰一人とも「いい男だね~!!」って言ってくれなかったことなんてどうでもいいんです。
人の中に宇宙を感じた1日でございました。
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